普蔵寺日和 第三回目 『三心』
本年は曹洞宗の本山永平寺では三世徹通禅師様の七百回忌の御遠忌が行われています。
徹通義介禅師様は永平寺において道元禅師様のもとで典座(てんぞ)職-修行僧の食事係-に就き食を扱うその心得として「典座教訓」の三心を護り修行の全般を照管されました。
一 喜心 食を作り三宝に供養できる巡り合わせの因縁を感謝し、他人の利益に供する喜びをもって勉める喜悦の心をいいます。
二 老心 父母が切々と子を思い、わが身の暑さや寒さをうち忘れ、子の健やかなことを願いながら慈しみ育てるような親切心をいいます。
三 大心 たとえば大山や大海のように高く、広い思いをもち一方に片寄ったり固執せず差別することない平等で大きな心をいいます。
徹通禅師様は道元禅師様より仏法の大事を受け継がれました。出家ばかりでなく在家の多くの人々へもこの三心の御教えが行き届きますよう願ってやみません。
現代の社会においてこの「三心」の心が不足しております。親が子を思い、子が親を思い、そして社会を思えば、もっとすごしやすい社会が実現するのではないでしょうか。