普蔵寺日和 第四回目 『新年』
新年を迎え、謹んで新春のお慶びを申し上げますとともに、皆さまのご繁栄とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
さて、近年、「こころ」のあり方が重んじられるようになってまいりました。曹洞宗では「仏狙単伝の正法に遵い、只管打坐、即心是仏を承当すること」を宗旨(曹洞宗の基本となる教え)とし、「こころ」を大切にしてまいりました。宗旨でいわれている「即心是仏」の「心」は、私たちがあれこれ考えたり、欲望のもととなる心ではなく、修行のなかでふれるみ仏の心、み仏にしたがっていく心を意味しています。そして「即心是仏」とは、仏の心に即して生活していくと、それがみ仏としての生きかたであることを説いているのです。
み仏の心をもって生活していくなかで、他をおもいやり、一人ひとりの、そして生きとし生けるものすべてのいのちを尊ぶ心が育まれていくことでしょう。そして、それは曹洞宗のスローガン「人権・平和・環境」の実践へとつながっていくことでしょう。
お仏壇の前で静かに坐り、手を合わせ、み仏の心に思いをいたし、自分のおこないをふりかえりながら、日々の生活を送っていきましょう。
平成二十一年 元旦
曹洞宗暦より